日本の外資で働くソフトウェアエンジニアの仕事内容ソフトウェア・プラットフォーム開発日本市場に向けた製品開発、ローカリゼーションの開発コンサル or セールスをサポートするソフトウェアエンジニアFollow the sun (SRE / DevOps)英語力給与の仕組みオファーRSUESPPRSUの運用についてRSUはボーナスRSUの売却RSUの売却のタイミングUSD口座
このドキュメントは、日本の外資で働くソフトウェアエンジニアの働き方についてまとめたものです。
日本の外資で働くソフトウェアエンジニアの仕事内容
ソフトウェア・プラットフォーム開発
仕事内容は本部のエンジニアと変わらない仕事内容です。これはできる理由は
- 日本・アジアに開発拠点がある(Indeed、Google)
- これができていている理由の一つとしてはシステムのアーキテクチャが疎結合 (マイクロサービスなど) というのがよくみられます。密結合なシステム(モノリス)では頻繁なコミュニケーションが避けられず、時差がクリティカルになるのでアジアに開発拠点もつとコミュニケーションが難しくなります。
- 日本・アジアに一部の開発チームがある(CircleCI、GitHub、Microsoft、Amazon)
- 会社がフルリモート体制(GitLab、remote、Sourcegraph、Stellar Cyber)
などが考えられます
日本市場に向けた製品開発、ローカリゼーションの開発
日本市場に向けた独自の製品開発、日本のユーザーのUXを向上させたり、日本のマーケットシェアの獲得を狙ったりするのがメインな目的で日本でチームを作っています。
- 日本の金融システムと連携(Stripe、Square)
- Amazonポイント・プラットフォーム、カスタマーエクスペリエンス(Amazon)
コンサル or セールスをサポートするソフトウェアエンジニア
特定のカスタマーのユースケースに沿ったプロトタイプを開発し、技術的な実現性を証明する仕事や、製品上に顧客が使うシステムを構築する場合もあります
- Prototyping Solution Architect(AWS)
- Forward Deployed Software Engineer(Palantir)
- Full Stack Engineer, Technical Services Engineering(Stripe)
Follow the sun (SRE / DevOps)
提供するサービスのSLAを満たすためにサービスの24時間の監視ができるように世界の各タイムゾーンごとにエンジニアチームを作っています。 このモデルはFollow the sunともいい、 その名の通り「太陽を追いかける」ようにして、 世界中の各タイムゾーンから24時間体制の監視及び対応を提供するために考案されたものです
- SRE (Apple, Cribl, Shopify, Goldman Sachs)
- DevOps (platform.sh)
英語力
外資IT企業で働くエンジニアにとって、英語力は必須スキルの一つです。コミュニケーションやドキュメント作成など、多岐にわたる業務において使用されます。英語力があることで、グローバルなチームとのコミュニケーションや、外国人エンジニアとのコミュニケーションがスムーズに行えるようになります。
給与の仕組み
外資IT企業で働くエンジニアの給与は、基本給に加えてRSUやESPPなどの報酬が含まれる場合があります。
オファー
オファーのパッケージは一般的に
- IPO(上場):ベース年収 + RSU
- pre-IPO(未上場):ベース + Stock Option
ただし、Pre-IPOでも、時価総額 $1billion USD を超えた辺りから RSU に切り替えてくる場合もあります。
RSU
RSUは、自社株式を従業員に配布する報酬制度でありもらうタイミングは
- オファーもらった時のInitial Grant
- 毎年のrefreshment(パフォーマンスによる企業もあり、だいたいInitial Grantの半分いかないぐらいの企業もある)
Grant(グラント): Grantは、従業員に対して新たなRSUが割り当てられることを指します。Granted RSUは一定期間経たないと売却または転換はできないです。またオファーに組み込まれた初期割り当てRSUをInitial Grantと言います
Vest(ベスト): Vestは、RSUが従業員の所有権に移行し、売却または転換可能になることを意味します。一般的に、Grantされたタイミングから一定の期間を経過することで、RSUのベストが発生します。よく見るのがVestの期間が4年であり毎年25%ずつ配布される仕組みです。もちろんVestされる前に会社を辞めた場合所有権がなくなります。
ベスト後、従業員はRSUを売却するか、株式に転換することができます。
わかりづらいのでシミュレーションしていきましょう。ただしいくつかの仮定を置きましょ
- オファーをもらった時のInitial Grantを$80k(Vest schedule 4年、毎年25%)
- 毎年Initial Grantの半分である$40k(Vest schedule 4年、毎年25%)のrefreshmentがある
- 在籍している間昇格なし
在籍期間 | 1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 5年 | … |
Initial Grant (4年) | $20k | $20k | $20k | $20k | ㅤ | ㅤ |
1年目のrefreshment: $40k | ㅤ | $10k | $10k | $10k | $10k | ㅤ |
2年目のrefreshment: $40k | ㅤ | ㅤ | $10k | $10k | $10k | … |
3年目のrefreshment: $40k | ㅤ | ㅤ | ㅤ | $10k | $10k | … |
4年目のrefreshment: $40k | ㅤ | ㅤ | ㅤ | ㅤ | $10k | … |
もらえる額 | $20k | $30k | $40k | $50k | $40k | … |
RSUはキャッシュではないが売却のときはもちろんもらった時点(Vest)自分の資産になるのでその時点の株の価値に対して税金を払う必要があります。詳しくは以下のブログを見てください
ESPP
ESPP(従業員株式購入プラン)とは、従業員が自社株式を割引価格で購入できる制度です。従業員は、給与の一部を毎月積み立て、一定期間後に自社株式を割引価格で購入することができます。
ESPPにはいくつかの種類がありますが、一般的には、従業員は給与の一定割合を毎月積み立て、6ヶ月後に自社株式を割引価格で購入することができます。割引率は一般的に15%ですが、企業によって異なります。
たとえば、従業員が給与の10%を毎月積み立て、割引率が15%の場合、6ヶ月後に自社株式を100円で購入することができます。この場合、従業員は100円で株式を購入することができますが、株式の市場価格が120円であった場合、20円の利益を得ることができます。
ESPPは、従業員の士気を高め、企業の株式を所有するインセンティブを与える制度です。ただし、株式の価格変動リスクがあることに注意が必要です。
RSUと同じく自社株を安く買えた差額を給与所得」(総合課税)として申告しなければならないので同じく以下のブログを見てください
RSUの運用について
あくまでも個人の心構えなのでNot financial adviceです。ご参考までに。
まず会社の未来に大きな期待値持っているならこの記事を読まなくて良いです。RSUをそのまま寝かせて仕事を頑張ってもっともらえるようにしましょう。
RSUはボーナス
RSUはよくTC (Total compensation)に含まれるが株価が変わるのでベスト時に多くなる時もある場合少なくなる場合もあります。なので年収に計算してしまうと毎年の年収が大きく変わって少なくなるときストレスになるので年収と別にボーナスとして考えた方が心理的に楽です。もらえたらラッキーというものです。
RSUの売却
売却後そのお金をどうするかある程度決めた方が良いです。売却した後に現金をそのまま口座に貯めてもいいけどもったいないので余った現金を定期預金にしたり安定性の高い株・ETF・投資信託(自社株より)などを買ったりしています。
RSUの売却のタイミング
最初のRSU運用、株価が高い時を狙ってタイミングを待ってましたね。そのためトレーディング期間中毎日株価を見ていてストレスがたまってました。ほとんどの場合もっと高くなるでしょうと信じて売却のタイミングを見逃してました。Don’t time the marketですね。
openinsider(もしくはEDGAR)のようなウェブサイトにインサイダーのトレーディング情報が載せられているので役員たちの運用の仕方を参考してみると良いかもしれないです。
以下はopeninsiderから見つけたPalo Alto NetworkのCTOの情報です。この数年間毎月(会社によって役員のトレーディング期間は違う)RSUの売却をしていることがわかりました。売却の単価は$500+の時もあるし、$138+のときもあるので特にマーケットを見ながら売却しているわけではなさそうですね。
よく見たらPalo Alto Networkのような企業のCTOになるとベースの年収の他に、毎月RSUの売却で数millionの現金がもらえるです。はい、頑張りましょう。
USD口座
売却の際にetrade上に両替するのは辞めましょう。理由は高いです。etrade上にも例を書いているが
$75,000を売却した際に他の通貨に両替したい場合何度 $1,687.50がかかります。それでetradeが決めているexchange rateを使って両替しているのでさらに損してしまう可能性があります。
USDのままをwire transfers自分の口座に移した方がおすすめです。日本のほとんどメガ銀行ならUSDの口座を簡単に開けることができるのでそれにしても良いですが自分はWise(紹介リンク)を使っています。以下はWiseを使った時のシミュレーション:
etradeによると、Wire transfers (outgoing)の場合は$25の固定費かかりますが$1687.50より圧倒的に安いです