はじめに
一般的には「ITエンジニア」と聞いて何を想像する方が多いでしょうか?いわゆる「ソフトウェア開発者」を想像する方、つまりコード書いてソフトウェアやサービスを作っていく仕事を想像する方が一般的には多いように思います。実際、既刊のInterviewCatで解説されているように、開発者側の学習法やスキルについての解説は比較的多いですし、学校で簡単なプログラミングを習ったことがあり、そこから趣味としてプログラミングを始めてエンジニアになった人もいると思います。
その一方で、それ以外の職種も多くIT業界には存在しています。特にSIerやコンサルティング企業など、顧客と直接やりとりを行う企業においては、ITの技術力を持ちつつ、顧客のプロジェクトを成功させ、満足度の高い技術や知見を届けるエンジニアが必要不可欠です。これは外資IT企業の日本法人においても同様です。皆さんがご存じのほぼ全ての外資IT企業においては、製品を顧客に売り込み、技術的に成功を収めるよう支援を行うことを日本で生業としています。そこには数多くのエンジニアが様々な形で貢献しており、非常にやりがいのある仕事が数多く存在しています。この外資IT InterviewCatにおいては、これらの外資IT企業に転職を考えている方を対象に、総合的な対策が行えるような内容となっています。
筆者は日系のシステムインテグレータでエンジニアのキャリアを始め、その後複数の外資系企業で様々なロールを経験し、採用や面接にも関わってきました。既にネット上には様々な情報があると思いますし、転職の情報も溢れていますが、どの情報についても非常に断片的、もしくは漠然としすぎているものが多いように見受けられます。外資IT InterviewCatでは、実際に私が働いてきた経験や実際に感じたこと、また、採用活動や面接の中で気づいたことなど、全て自分で見聞きしたことをまとめています。
対象となる読者
外資IT InterviewCatの対象となる読者は、基本的には外資IT企業のエンジニアロールを志望する以下のようなエンジニア経験者全てになります。
- システムインテグレータやコンサルティング企業で働くエンジニアやコンサルタント
- IT系の自社サービス企業(SaaSやBtoCサービス)のエンジニア
- 社内IT等、非IT企業の社内エンジニア
SIer等実際に顧客に関わる仕事の経験がないと難しいのではないか、と考える方もおられるかもしれませんが、実際のところは、そうでもありません。私の周囲でもBtoCのサービス開発者から外資IT企業に転職した同僚は多くいますし、企業とロールによってはそういった開発経験をプラスと捉えてくれる場合も多くあります。第二章から説明していきますが、外資IT企業のエンジニアロールを理解し、自分の経験や技術を振り返り、最適なロールに応募することができれば、どういった形のエンジニア経験者でも可能性はあります。
対象となる外資IT企業のロールについて
一般的に広く外資企業におけるエンジニアのロールと言った場合、以下の1~3が存在します。
- 外資系事業会社の開発者・ソフトウェアエンジニア(InterviewCatの対象)
- 外資系システムインテグレータやコンサルなどアウトソーシング先のエンジニア
- 外資IT企業(製品を持っている・いわゆるベンダー)のエンジニア
上記1~3がどれが良い悪いというものはなく、正直に言って働くエンジニアのキャリアパス次第かなと思いますが、外資IT InterviewCatでは3の外資IT企業でのロールにフォーカスします。主な理由は以下になります。
- 募集の母数が多い
- 日本市場で営業活動を行う場合、何らかのエンジニアのロールは拡販やサポートには必須であるため、募集の母数が多い
- 製品に直接携わるタイプの外資IT企業のエンジニアのロールは、日本における採用は少なく、相対的に難易度が高い
- スキルと経験のポータビリティが高い
- 外資IT企業の製品のセールスサイクル(プリセールス・ポストセールスの概念)や、関係するエンジニアロールについてはどの企業も似たものが多く、ロールごとの再現性が高く、人材の流動性が高い
- 技術に関しても近いテクノロジーの企業であれば非常に転職が容易である上に、全く異なる分野のテクノロジーでなければ挑戦しやすい土壌となっている
外資IT企業における一般的なロール